Excelで角度計算をしていて、こんな経験はありませんか?
「あれ…? SIN(30) の結果が 0.5 にならない」
建築・設計の現場で角度がズレると、屋根勾配・部材寸法・回転座標などが連鎖的に崩れ、手戻りや事故につながる可能性があります。
原因はあなたではなく、Excelの三角関数が“度(°)”ではなく“ラジアン”前提で動く仕様です。
このページでは、度入力のまま事故らない「変換の型」を、コピペできる形でまとめます。
このページの要点(ここだけ見ても実装できます)

- 角度は「度」で入力(見た目に°が必要なら書式で付ける)
- 三角関数に入れる直前で
RADIANS()(度→ラジアン) - 逆三角関数の結果は
DEGREES()(ラジアン→度) - 検算セル(30°など)を常設して、壊れたら即わかる仕組みにする
コピペで使える「度⇔ラジアン」テンプレ8選

検索者が欲しいのは説明よりこれです。
この8本を“標準仕様”にしてしまえば、角度ズレは止まります。
| No | 目的 | コピペ用数式 | 実務メモ |
|---|---|---|---|
| 1 | SIN(度入力) | =SIN(RADIANS(A2)) |
高さ/垂直成分 |
| 2 | COS(度入力) | =COS(RADIANS(A2)) |
水平成分/投影 |
| 3 | TAN(度入力) | =TAN(RADIANS(A2)) |
勾配/スロープ |
| 4 | ASIN → 度で出す | =DEGREES(ASIN(B2)) |
B2は-1〜1 |
| 5 | ACOS → 度で出す | =DEGREES(ACOS(B2)) |
B2は-1〜1 |
| 6 | ATAN → 度で出す | =DEGREES(ATAN(B2)) |
-90〜90度 |
| 7 | ATAN2 → 度で出す | =DEGREES(ATAN2(C2, D2)) |
Excelは(x, y)順 |
| 8 | 見た目だけ°を付ける | セル書式:0"°" |
中身は数値のまま |
なぜExcelで角度がズレるのか(最小コストで理解)

Excelの三角関数は、角度をラジアンとして扱います。度のつもりで「30」を渡すと、Excelは「30ラジアン(約1718.87度)」として解釈します。
なので、度で入力したら、計算の直前で必ず変換が必要です。
180° = π(パイ)ラジアン
ここだけ押さえれば角度ズレは止まる(運用ルール)
度入力のまま三角関数を正しく使う

ダメな例はこれです(エラーが出ないのが怖い)。
- 誤:
=SIN(30)→ -0.988…(30度のつもりが30ラジアン) - 正:
=SIN(RADIANS(30))→ 0.5
チーム運用では、「三角関数には裸の角度を入れない」を規約化してください。
角度を出したらDEGREESで戻す

逆三角関数の戻りはラジアンです。
度で見たいなら必ず DEGREES() を付けます。
=DEGREES(ASIN(数値))=DEGREES(ACOS(数値))=DEGREES(ATAN(数値))ATAN2は「象限ミス」を潰せる(ただし引数順に注意)

ATAN は範囲が狭く、座標系だと向きを取り違えやすいです。
座標 (x, y) から角度を取るなら ATAN2 を推奨します。
=DEGREES(ATAN2(x, y))※注意:Excelは (x, y) の順です(他言語と逆のことが多い)。
検算セルを常設してズレを即発見する

人はミスをします。だから、ミスを前提に“壊れたら目でわかる”仕組みを置きます。
- 任意セル(例:Z1)に 30 を入力
- Z2に
=SIN(RADIANS(Z1)) - Z3に
=IF(ABS(Z2-0.5)<1E-10,"OK","ERROR")
ポイント:小数誤差があるので、完全一致(Z2=0.5)ではなく、ABS+許容差で判定します。
条件付き書式で「ERRORを赤」にする
- Z3を選択 → [条件付き書式] → [セルの強調表示ルール] → [文字列]
- 「ERROR」を指定し、背景を赤などに設定
よくある詰まりどころ(事故ポイントだけ潰す)
*PI()/180 での変換でもよいのか
数学的にはOKで、結果は一致します。
ただし実務では、可読性とレビュー性の観点で RADIANS() を推奨します。
「度→ラジアンはRADIANS」と書いてある方が、引継ぎで事故が減ります。
「30°」のような記号付き入力をどう扱うか

「30°」を文字として入力すると、計算で #VALUE! になりがちです。
入力は数値(30)にして、見た目だけ°を付けたいなら書式で解決します。
- セルに入力:
30 - セルの表示形式(ユーザー定義):
0"°"
次に読むべき記事(内部リンク)
今回の「変換」は入口です。次は用途別に固めると、角度計算が体系化できます。
- SIN/COS/TANの実務例(高さ・斜辺・投影)
(※ここにWordPressカード:該当記事URL) - ATAN2の応用(座標→角度、方位、回転)
(※ここにWordPressカード:該当記事URL) - 勾配の扱い(度・%・1/○・寸勾配)変換
(※ここにWordPressカード:該当記事URL) - 座標回転(回転行列)をExcelでやる
(※ここにWordPressカード:該当記事URL)
まとめ:角度計算は「型」で制する
- 角度入力は「度」で統一
- 三角関数の直前で
RADIANS() - 角度を出したら
DEGREES() - 検算セルを常設して、壊れたら即わかる仕組みにする
これで、単位混在の地雷を踏みにくくなります。
今日開いているそのシートに、検算セルだけでも追加しておくと、事故率は目に見えて下がります。


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